昨年から正式にスタートした小学校英語必修化。日本では小学校英語必修化は歴史上初めてのことですから、不満や改善点が出てくるのは当然で、現場の意見も吸い上げながら改善されるとは思うのですが実際はどうなのでしょうか。
小学校英語の実施を全国レベルで考えると、外国人講師が確保できない地域、民間英語指導者の確保が困難な地域もあり、義務教育といえども、指導者整備についてはかなり不平等な環境にあるようです。
2013年からは高校英語の授業が全て英語で行われるようになるそうです。
これも最初の数年、現場は混乱するとは思いますが、いずれ教師も淘汰され、デジタル教材も充実し、高校英語も徐々に定着していくでしょう。英語に関しては、いずれ「大学入試」のありかたもきっと大きく変わるのではないでしょうか。各大学でSpeakingテストを実施するのは困難なので、TOEICや英検に代わる「高校生の実用的な英語力を総合的に判定する新たな統一試験」へ進む可能性がありそうです。
つまり、個々の大学では英語の試験は実施しなくなる可能性があります。
そして、高校の英語の授業が英語で成立するよう、中学の英語の改善が必然的に求められていきます。
更に、小学校英語は「必修」ではなく、いずれ「教科」となるのではないかと思っています。
そうなれば私立中学の入試問題に英語が付加されます。
これらの制度改革がいつ完了するかは明らかではありませんが、今から10数年後にはこうした状況になっていると思われます。実業界からの強い要望だけでなく、国も「日本人の英語力は国力に関わる」とはっきり認識しています。
そして、
高校生の進路選択に関する調査「進学センサス2011」(リクルート発刊)によると、費用が高く英語が苦手ため、留学したくない高校生の現状が明らかになりました。調査は2011年3月に高校を卒業し、大学に進学した男女約7,500人の回答を集計したものです。
今年から新たに高校3年生の留学意向を聞いています。海外に留学したいかと尋ねたところ、最も留学意向が高かったのは文系女子で、最も低かったのは理系男子でした。文系より理系のほうが留学意向は低く、理系の留学したくない理由の1位は「英語が苦手だから」。未来の研究・技術開発を担う理系、特に理系男子の留学意向の低さは、グローバル化への懸念材料だと、同社は警笛を鳴らしています。
前にもここで触れましたが、ここ数年日本人の留学生が年々減少しています。それに対して、中国、韓国の留学生は年々増加傾向にあります。
リーマンショック以降、確かに不景気が続き、社会不安が蔓延しているので、費用面も含め留学は難しくなっているとは思いますし、留学さえすれば輝かしい未来が保証されるほど甘くはありません。結局はすべて本人次第です。本人が明確な目的意識をもって留学し、一生懸命努力したならば、必ずや人生は変わると思います。
しかしながら、こうした日本人の留学者数の減少傾向が続けば、小学校英語も含め、中国、韓国にますます大きな差をつけられることは明らかです。国力に関わってくると思っています。
今回のリクルートの調査では、予想通り、留学志望者は文系女子に目立つという結果が出ていますが、グローバル社会において実際に最も英語を必要とするのは、理系の技術者、研究者です。あるいは、スポーツの世界で将来世界的に活躍したい若者も早期から英語を意識した方が良いのではないでしょうか。今やサッカー界においては、日本人選手の活躍は目を見張るものがあります。
先程にも述べたように2013年から高校では、英語の授業を英語で行うことが決定しています。成果が見えてくるまでには年月がかかるでしょうし、これに呼応して大学入試の英語も新たな方向が打ち出されてくるでしょう。悪いことではありません。
しかし、英語教育においては、生徒一人一人が将来の人生を考えるときに、英語の必要性を考えさせるアプローチがもっとあっていいと思います。
少なくとも高校生になったら、学校教科の得意、不得意で文系、理系を決めるのではなく、どういう方向に進みたいのか、その際何が自分に必要になってくるのか、そのためには何を克服しなければならないかという順序で物事を考えることが将来を決めるのに必要なことになるのではないかと思います。